不動産業を開業するために必要な宅建業免許は、管轄行政庁の違いによって「知事免許」と「大臣免許」に分かれます。
どんなとき知事の免許が必要で、どんなとき大臣の免許が必要なのでしょうか。また、宅建業免許の申請を進める上で気をつけておくべき点はどこにあるのでしょうか。
都道府県知事の免許
まず都道府県知事の免許ですが、これは1つの都道府県内のみに不動産業を営む事務所を設置する場合に必要な免許になります。
たとえば、東京都内に本店があって、その本店のみで営業するというときには、東京都知事の宅建業免許を申請して取得することになります。
また、東京都内に本店があって、同じ都内に宅建業を営む別の支店(または従たる事務所)があるというケースも、同一都道府県内に事務所が存在することになりますから、東京都知事の宅建業免許ということになります。
審査に要する期間
都道府県知事の宅建業免許をこれから申請するという場合、事務所を設置する都道府県によっても審査期間が若干異なりますが、概ね申請から1ヶ月前後かかることが多いです(不動産業協会の審査期間を除きます)
国土交通大臣の免許
次に国土交通大臣の免許ですが、これは複数の都道府県に渡って不動産業を営む事務所を設置する場合に必要な免許です。
たとえば、東京都の本店で宅建業を営むほか、隣接する埼玉県や千葉県にも不動産業を営む支店(または従たる事務所)を設置するときは、国土交通大臣の免許を申請して取得することになります。
審査に要する期間
国土交通大臣の免許も、管轄の地方整備局がどこかによって多少異なるようですが、申請から3、4ヶ月程度かかることが多いです。(稀にそれより早く免許が下りることもあります。また不動産業協会の審査期間を除きます)
本店は必ず不動産業を営む事務所となる点に注意
ところで、会社の登記上の本店は、宅建業上必ず「不動産業を営む事務所」と見なされます。
そのため、たとえば東京に登記上の本店があるものの、そこでは現在不動産業を営む予定がなく、埼玉の支店でのみ不動産業を開業しようとする場合であっても、東京の本店は不動産業を営む事務所と見なされますから、必要な宅建業免許は国土交通大臣の免許ということになります。
なおこの場合、それぞれの事務所ごとに専任の宅地建物取引士を設置しなければなりませんし、本店、支店ともに供託金の供託または全宅、全日など不動産業協会への入会を求められることになります。
国土交通大臣の免許の取得を予定する場合は、これらのことを踏まえて、コストや手続きに必要な日数を十分確保しておく必要が生じます。
不動産業界への新規参入は知事免許から取得が一般的
もっとも、新たに不動産業に参入される企業様が直接に国土交通大臣の免許を取得されることは稀で、まず本店のみ事務所として知事の免許を取得した後(つまり本店では不動産業の営業が可能な状態を作り出して以降)、タイミングを図って国土交通大臣の免許に切り替える手続きを取ることが大半です。
このように宅建業免許は知事免許から大臣免許、大臣免許から知事免許へと、種類を変える手続きを取ることが可能です。これを一般的に「宅建業免許の免許換え」手続きと呼びます。
最初から大臣免許の申請が可能な状況が整っているケースでも、まずは都道府県知事の免許を取得して営業が可能な状態に持っていってから、次に大臣免許へ切り替えを図る不動産業者様もいらっしゃいます。
宅建業免許の申請でお困りの際はご相談ください
当事務所は知事免許、大臣免許の申請、および免許換え手続きにつき、司法書士事務所として登記上の手続きを並行して進めながら、行政書士事務所として免許手続きを進行することで営業開始までの期間短縮が可能です。
宅建業免許でお困りの会社様は、一度ご相談いただければと思います。