不動産業(宅建業)を営む企業様にとって、本店の移転は単なる住所変更ではありません。法務局での「登記変更」に加え、免許権者(知事や国土交通大臣)への「宅建業免許変更届」、さらには「保証協会への変更届」など、複数の手続きを短期間に完了させる必要があります。
特に注意が必要なのが、**「移転先の事務所が宅建業の事務所要件を満たしているか」**という点です。もし要件を満たさない事務所に移転してしまうと、最悪の場合、営業停止や免許取消のリスクさえあります。
本ページでは、本店移転の手続きの流れから、失敗しやすい「事務所の独立性」に関する重要ルール、そして当事務所の代行サービスについて、Q&A形式を交えて詳しく解説します。
1. 宅建業者の本店移転で必要な3つのステップ
本店を移転する場合、以下の3段階の手続きを順に行う必要があります。
① 法務局での本店移転登記
まずは会社法に基づき、法務局で本店の所在地変更登記を行います。
期限: 移転の日から2週間以内
必要書類: 株主総会議事録、取締役会議事録など
② 行政庁への変更届(宅建業法第9条)
登記が完了したら、次に免許権者(東京都知事や埼玉県知事など)へ変更届を提出します。
期限
変更の日から30日以内
重要ポイント
移転後の事務所の写真を添付し、要件を満たしていることを証明しなければなりません。
③ 保証協会への変更届
ハトマーク(全国宅地建物取引業保証協会)やウサギマーク(全日本不動産協会)に加入している場合は、各協会への届出も必須です。
2. 【重要】移転先の「事務所要件」を満たしていますか?
宅建業の免許を維持するためには、事務所が「独立した形態」を備えていなければなりません。特に、**「他社と同じフロアに移転する場合」や「自宅の一部を事務所にする場合」**は、審査が非常に厳しくなります。
他の会社と同じフロア(同居)になる場合のルール
移転先に別の会社が既に存在している場合、原則としてそのままでは宅建業の営業は認められません。同一フロアを共有する場合には、以下の「独立性の確保」が必須条件となります。
物理的な仕切り(壁やパーティション)
単にデスクを並べるだけでは不許可です。
床から170cm〜180cm以上の高さがある固定式のパーティションや壁で、他社のスペースと完全に仕切られている必要があります。
専用の出入り口
他社の事務スペースを通らなければ自社のスペースに入れない構造は認められません。
共用廊下から直接、自社専用のドアを通って入れることが求められます。
他の用途との混在禁止
生活の場(リビングなど)や、他社の会議室を通らなければならない配置は不可です。
なぜ「独立性」が求められるのか?
宅建業は、お客様の大切な資産や個人情報を扱う仕事です。他社の人間に契約書類を盗み見られたり、来客の会話が筒抜けになったりするような環境では、適切な業務遂行ができないと判断されるためです。
【チェックリスト】移転前に確認すべきこと
- 移転先の間取り図で、他社との動線が分離されているか。
- 賃貸借契約書の使用目的が「事務所」になっているか。
- 事務所の入り口に、自社の商号(看板)を掲示できるスペースがあるか。
3. よくあるご質問(Q&A)
Q. 移転先がレンタルオフィスやバーチャルオフィスでも大丈夫ですか?
A. バーチャルオフィスは不可、レンタルオフィスは条件付きで可です。
バーチャルオフィスは物理的な実体がないため、宅建業の事務所としては認められません。レンタルオフィスの場合、個室タイプで、天井まで壁があるか高いパーティションで仕切られ、自社専用のスペースとして独立していれば認められる可能性があります。ただし、個別の審査が必要ですので事前に図面等での確認を推奨します。
Q. 手続きを忘れて30日を過ぎてしまったら?
A. 速やかに「始末書(遅延理由書)」を添えて提出してください。
期限を過ぎても届出自体は受理されますが、行政指導の対象となります。放置し続けると免許更新の際に問題となるため、気づいた時点で早急に対応しましょう。
Q. 代表者の自宅を移転先にすることはできますか?
A. 可能です。ただし「居住用」と「事務用」が明確に分かれている必要があります。
玄関から直接事務所に入れるか、または他の部屋を通らずに事務所に行ける構造であることが条件です。また、分譲マンションの場合は管理規約で「事務所利用」が禁止されていないかも必ず確認してください。
4. 本店移転手続き代行サービスの内容
上川事務所は司法書士・行政書士のダブルライセンス事務所ですので、法務局の登記から行政庁への届出まで、ワンストップで対応可能です。
【代行サービスに含まれる内容】
- 本店移転登記および宅建業免許変更届に関するコンサルティング
- 本店の移転登記申請の代行(司法書士業務)
- 宅建業免許の変更届の作成および提出の代行(行政書士業務)
- 事務所写真の撮影・図面作成のアドバイス
- 保証協会への変更届作成および提出の代行(オプション)
5. 代行サービスの料金(費用)
料金は、移転前と移転先の法務局管轄によって、報酬額と実費(登録免許税等)が異なります。詳細はお電話でもお見積もり可能です。
【報酬】
- 本店移転登記 55,000円(税込)~
- 宅建業変更届 44,000円(税込)~
| 移転登記+変更届の報酬額 | 手数料や税 | 税込合計 | |
|---|---|---|---|
| 法務局の管轄内での移転 | 55,000円 | 30,000円 | 85,000円 |
| 異なる管轄への移転 | 66,000円 | 60,000円 | 126,000円 |
※書類収集に必要な実費(登記事項証明書代等)は、別途ご請求させていただきます。
※保証協会への届出代行を希望される場合は、別途追加費用が発生します。
6. ご依頼から完了までの流れ
お問い合わせ・無料相談
まずは、移転先の住所や時期についてお聞かせください。事務所要件に不安がある場合は、間取り図をご用意いただければ事前診断いたします。
お見積もりと正式受任
手続きに必要な費用をご提示します。ご納得いただけましたら、委任状等の書類に押印をいただきます。
本店移転登記(法務局)
当事務所の司法書士が迅速に登記申請を行います。
変更届の作成・提出(知事等)
登記完了後、新事務所の写真撮影等を行い、速やかに行政庁へ変更届を提出します。
完了報告・書類のご返却
すべての手続きが完了しましたら、副本(控え)をお渡しして業務完了となります。
事務所選びに迷ったら、まずはご相談を
宅建業の移転は、物件を契約する「前」のご相談がベストです。せっかく内装工事をしたのに、行政の立入検査で「仕切りが足りない」と指摘され、追加工事が必要になるケースも少なくありません。
「このオフィスで免許は維持できる?」「手続きの期限が迫っていて困っている」という業者様は、ぜひ一度当事務所へお問い合わせください。







