- 「支店長(政令使用人)が退職することになったが、どう手続きすればいいのか」
- 「急な人事異動で、いつまでに役所へ届け出ればいいのか分からない」
- 「もし手続きを忘れてしまったら、免許の更新に響くのだろうか……」
宅建業を営む上で、本店の代表者に代わってその事務所の契約締結権限を持つ「政令で定める使用人(以下、政令使用人)」の存在は非常に重要です。この政令使用人に変更があった場合、単なる社内の人事異動では済まされず、宅建業法に基づいた厳格な変更届出が義務付けられています。
本記事では、不動産会社の政令使用人の変更手続きについて、その重要性から具体的な流れ、必要書類、そしてスムーズに完了させるためのポイントを徹底解説します。不動産業界におけるコンプライアンス遵守と、円滑な事業運営にお役立てください。
政令使用人の変更においてよくある「お悩み」と「リスク」
政令使用人の変更は、単なる名義の書き換えではありません。実務上、以下のような懸念やリスクが伴います。
提出期限の厳守
宅建業法では、変更があった日から「30日以内」の届出が義務付けられています。この期限を過ぎると、遅延理由書の提出を求められるだけでなく、悪質な場合は行政処分の対象となる可能性もあります。
欠格事由のチェック
新しく就任する方が、宅建業法第18条に定める「欠格事由」に該当していないか、厳密に確認しなければなりません。万が一該当者が就任し、そのまま届け出た場合、会社全体の免許取り消しに繋がる致命的なリスクとなります。
保証協会への報告漏れ
免許権者(知事や大臣)への届出だけで安心し、所属している保証協会への報告を忘れてしまうケースが多発しています。
「政令で定める使用人」とは何か?
そもそも「政令で定める使用人」とは、宅建業法施行令第2条の2で定められた「事務所の代表者」を指します。具体的には、本店の代表権(社長)が及ばない場所、すなわち「支店」や「継続的に業務を行う営業所」において、その事務所の業務に関し、契約を締結する権限(支配人など)を有する人のことです。
※注:政令使用人は、必ずしも「宅地建物取引士」の資格を持っている必要はありません。実務上の権限を持つ責任者であれば、資格の有無を問わず就任することが可能です。ただし、後述するように「専任の宅地建物取引士」を兼ねる場合には、当然ながらその資格と登録が必要となります。
選任の必須条件
常勤性
その事務所に常駐し、実質的に業務を統括していること。他の会社との兼務や、名貸しは一切認められません。
欠格事由への非該当
破産者で復権を得ない者、禁錮以上の刑に処せられた者(一定期間内)、暴力団員、または過去に宅建業法違反で免許取り消しを受けた役員であった者などは就任できません。
専任の宅地建物取引士を兼任する場合の注意喚起
実務上、支店長などの政令使用人が、その事務所の「専任の宅地建物取引士(以下、専任取引士)」を兼任するケースは非常に多く見られます。この場合、「政令使用人の変更手続き」とは別に、「専任取引士の変更手続き」を同時に行う必要があります。
同一人物が両方の役割を担う場合であっても、行政上の届け出事項としては別個の扱いとなるため、どちらか一方の手続きを失念してしまうと、免許情報が不正確な状態となり、将来の免許更新時などに重大な支障をきたす恐れがあります。交代する方が専任取引士を兼ねるかどうかを事前に必ず確認し、二重の手続きが必要になることを念頭に置いておく必要があります。
取得に注意が必要な公的証明書について
変更手続きにおいて、本人の欠格事由を証明するために取得が必要な2つの書類は、取得先や方法が特殊であるため注意が必要です。
① 身分証明書
これは運転免許証などの写しではなく、本籍地の市区町村役場が発行する公的な証明書です。「禁治産者・準禁治産者の通知を受けていない」「後見の登記の通知を受けていない」「破産宣告の通知を受けていない」ことを証明するものです。住民票のある役所ではなく、あくまで「本籍地」の役所へ請求する必要があるため、遠方の場合は郵送での取り寄せに日数を要します。
② 登記されていないことの証明書
成年後見制度の利用(成年被後見人・被保佐人など)の登記がないことを証明する書類です。これは市区町村役場ではなく、全国の法務局(本局)の窓口、または東京法務局への郵送で取得します。支局や出張所では発行できない場合が多いため、取得場所に注意が必要です。郵送の場合は、専用の申請用紙と収入印紙を用意して手続きを行う必要があります。
手続きの全体像と詳細なフロー
政令使用人の変更手続きは、以下のステップで進行します。
ステップ1:必要書類の収集・作成
新しく就任する方に関する公的書類(身分証明書、登記されていないことの証明書)を取得し、行政庁指定の様式で変更届出書、略歴書、誓約書等を作成します。専任取引士を兼任する場合は、取引士としての変更届出書類も一式揃えます。
ステップ2:行政庁(知事または大臣)への届出
変更から30日以内に、主たる事務所を管轄する行政窓口へ提出します。副本に受領印をもらうことで、手続き完了の証明となります。
ステップ3:所属保証協会への変更届
免許権者への届出が完了した後は、必ず所属している保証協会(全宅・全日)へ変更届を提出します。通常、行政庁の受領印がある変更届のコピーを添付します。
必要書類の一覧(政令使用人の変更のみ記載)
政令使用人の変更手続きに必要となる主な書類は以下の通りです。
※専任の宅地建物取引士を兼任する場合は、別途取引士用の書類一式が必要となりますのでご注意ください。
| 書類名称 | 内容 |
|---|---|
| 宅地建物取引業者変更届出書 | – |
| 政令第2条の2を定める使用人の略歴書 | 職歴を記載したもの |
| 誓約書 | 欠格事由に該当しないことを誓約する書類 |
| 身分証明書 | 本籍地の市区町村が発行するもの |
| 登記されていないことの証明書 | 法務局が発行するもの |
| 代表者等の連絡先に関する調書 | 新任の政令使用人の連絡先等を記載した書類 |
専門家に代行を依頼する3つのメリット
① 事務作業の大幅な削減
変更届出書の作成だけでなく、略歴書や誓約書といった複数の書類を整える必要があります。特に兼任がある場合は手続きが重なるため、一括して任せることで社内の事務負担を軽減できます。
② 煩雑な公的証明書の取得代行
本籍地の役所や法務局本局へ出向く、あるいは郵送でやり取りする手間をすべて代行します。これにより、お客様は平日の貴重な時間を営業活動に充てていただけます。
③ 関連する変更事項の一括処理
政令使用人の交代時には、同時に役員の変更や本店移転などが重なることもあります。これらを整理し、不備なく一括して届け出ることで、手数料や手間の重複を抑えます。
費用について
政令使用人変更代行サービスの料金目安は以下の通りです。
| 手続き項目 | 報酬額(税込) | 実費(登録免許税等) |
|---|---|---|
| 政令使用人設置の変更届 | 22,000円 | – |
| 専任宅地建物取引士設置の変更届(※兼務の場合) | 22,000円 | – |
| 保証協会への変更届 | 16,500円 | – |
| 合計 | 60,500円 | 0円 |
※複数の変更が重なる場合は、別途お見積りいたします。
※公的書類(身分証明書等)の取得実費は別途ご負担いただきます。
まとめ
「政令で定める使用人」の変更、特に専任取引士との兼任を伴うケースは、どちらの手続きも漏れなく確実に完了させることが重要です。また、身分証明書や登記されていないことの証明書など、取得にコツが必要な書類も含まれます。
「手続きが後回しになっている」「書類の取り寄せが面倒」という方は、ぜひ一度ご相談ください。私たちは、宅建業法に精通したプロフェッショナルとして、貴社の円滑な運営を支えます。







